1 被害者参加制度とは、「一定の事件」の「被害者等」が、刑事事件に参加して、公判期日に出席したり、被告人質問などの訴訟行為を行うことができる制度です。

ここでいう、「一定の事件」には、殺人、傷害、危険運転致死傷などの故意の犯罪行為により人を死傷させた事件や、過失運転致死傷が含まれますので、交通事故の「被害者等」も被害者参加制度を利用することができます。

また、「被害者等」というのは、被害者の他、被害者が死亡した場合や心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹などの方々をいいます。

例えば、交通事故の被害者ご本人の他、交通事故でお子さんを亡くしたご両親や、交通事故で夫を亡くした妻などがこの被害者参加制度を利用することができます。

 

2 被害者参加をするためには、まずは、被害者等から、事件を担当する検察官に参加を申し出ます。その後、裁判所が、被告人または弁護人の意見を聞き、犯罪の性質、被告人との関係その他の事情を考慮し、相当と判断して許可した場合には、刑事裁判に参加することができます。ただし、参加が許可された場合でも、希望する手続への参加が許可されない場合があります。

このようにして刑事裁判に参加が認められた被害者等は「被害者参加人」といわれます。

 

3 交通事故の被害者等が刑事事件に参加する意義は、「事案の真相を知りたい」「被告人を厳罰に処したい」等被害者参加人の思いを刑事事件に反映できることにあります。また、犯罪の被害者等は、第一回の公判期日後から当該被告事件の訴訟記録の閲覧・謄写が認められますが(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続きに付随する措置に関する法律3条)、被害者参加人は、それより早い時期(起訴後第一回公判前)に検察官が証拠調べ請求をすることとしている証拠の閲覧・謄写が認められるなど弾力的な運用がなされています。これにより、被害者参加人は、予め証拠を精査して公判に出席することができることになるため、公判において被告人の供述の嘘や矛盾を追及することが可能となります。このことが、後の民事の損害賠償事件において被害者参加人に有利になることもあります。

 

4 被害者参加人が行うことができること

  • 公判期日に出席することができます。
  • 検察官に対して、検察官の権限の行使(証拠調べの請求や論告・求刑など)について意見を述べたり、検察官に説明を求めることができます。
  • 情状に関する事項(犯罪事実に関するものを除く。)についての証人の供述の証明力を争うために必要な事項について、証人を尋問することができます。
  • 意見を述べるに必要があると認められる場合に、被告人に質問をすることができます。
  • 証拠調べが終わり、検察官が事実及び法律の適用などについて最終意見を述べた(論告・求刑)後、事実又は法律の適用について意見を述べることができます。

 

5 被害者参加に際して、被害者等は、弁護士(被害者参加弁護士)に委託して援助を受けることができます。交通事故の被害者等が、刑事事件が始まる前に弁護士に民事の損害賠償請求事件を依頼している場合、その弁護士に被害者参加についても委託することができます。

なお、経済的に余裕がない方(現金、預金等の資力から、当該犯罪行為を原因として、選定請求の日から6か月以内に支出することとなると認められる費用の額(治療費等)を差し引いた額が200万円に満たない方)については、裁判所が被害者参加弁護士を選定し、国がその費用を負担する制度(被害者参加人のための国選弁護制度)もあります。

 

以上