自動車保険では、事故の内容や回数に応じて、契約者ごとに「等級(ノンフリート等級)」が設定されていて、この等級の区分に応じて保険料が割引・割増されることになっています。

等級には、1等級から20等級までの20段階があります。
初めて自動車保険に契約すると、6等級からスタートし、1年間「無事故」であれば、次年度に1つ等級が上がる(例えば6等級から7等級に上がる)ことになります。

ここでいう「無事故」というのは、あくまで保険を利用した事故が無かったという場合であり、例えば、追突事故にあって事故の相手方から保険が支払われ、自分自身の保険は利用しなかったという事故があったとしても、「無事故」となり、等級は1つ上がります。

また、事故で保険を使う場合でも、搭乗者傷害保険や人身傷害保険などしか使わない場合には「ノーカウント事故」となり、ノーカウント事故しかない場合には次年度に1等級上がることになります。

一方で、事故で相手方や第三者に損害を与えた際に対物賠償保険や対人賠償保険を使ったり、自分の車の修理費用等に車両保険を使ったりした場合には、「3等級ダウン事故」となって、次年度に等級が3つ下がります(例えば6等級から3等級に下がる)。

また、台風や洪水、ひょう等の偶然の事故で損害を受け、車両保険等の保険を使った場合には、「1等級ダウン事故」となって、次年度に等級が1つ下がります(例えば6等級から5等級に下がる)。

なお、対人賠償が自賠責保険の範囲内で収まる場合や車両保険無過失事故特約を用いる場合など、例外的に無事故やノーカウント事故として扱われる場合もありますので、実際の事故の際に保険会社担当者や代理店に等級がどうなるかの確認をすることをお勧めします。

 

交通事故にあって、事故相手に損害賠償請求をする際の弁護士費用を保険から出してもらう弁護士費用特約については、ノーカウント事故となり、弁護士費用特約を使っても等級が上がることはありません。
したがって、翌年の保険料のことを考えて弁護士費用特約の利用を控える必要はありません。

ただ、同じ事故で対物賠償保険や対人賠償保険、車両保険を使えば、当然、翌年度の保険料が上がることになります。
修理費用等が低い場合や、過失割合が低くて賠償額等が低い場合には、保険を使わずに自己負担した方が、翌年の保険料の増額幅よりも金銭的な負担が軽い場合もあります。

損害額に争いがあったり、過失割合に争いがあったりする場合には、いったんは弁護士費用特約だけを用いて弁護士に依頼し、その結果次第で対物賠償保険や対人賠償保険、車両保険の利用をするという二段階で考えると、結果的に金銭的な負担を抑えることが可能になることもあります。