1  キックボードに原動機(電動モーター)を装備した電動キックボードは、手軽に乗れるモビリティとして注目され
  ています。
  しかしながら、その規制内容について十分理解していないと、知らぬ間にルール違反を犯し、刑事罰や行政罰を受け
  ることになりかねません。そこで、電動キックボードについてのルール等についてご説明します。

(1)車両区分
   販売されているキックボードの多数を占める定格出力0.6キロワット以下のものは、道路交通法上は原動機付自転
   車、道路運送車両法上は(第一種)原動機付自転車となります。定格出力0.6キロワットを超え1.0キロワット以下
   のものは、道路交通法上は普通自動二輪車と、道路運送車両法上は(第二種)原動機付自転車とな
   ります。
(2)運転免許、車道通行、ヘルメットの着用
  ・道路交通法の車両区分に応じた運転免許が必要となります(法第64条1項)。
  ・道路においては、車道を通行しなければならず、歩道を通行することはできません(法第18条)。
  ・乗車用ヘルメットをかぶらないで運転してはいけません(法第71条の4)
(3)必要な保安装置
   道路運送車両法の車両区分に応じて、制動装置、前照灯、後写鏡、警音器等の装置が必要となります。
(4)その他
  ・自動車損害賠償保障法に規定する自動車損害賠償責任保険又は自動車損害賠償責任共済(自賠責保険
   (共済))の契約が締結されているものでなければ運行の用に供することができません。
  ・電動キックボードの所有者には、地方税法に基づく軽自動車税の納税義務があり、課税標識(ナンバープレート)
   を取り付けなければならないとされています。

2 なお、令和3年1月、産業競争力強化法に基づき、事業者より経済産業大臣に対して、新事業活動区域において貸し渡
 される電動キックボードに関する特例措置の要望書が提出され、これを受けて、令和3年4月、「道路交通法施行規則」
 及び「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」の適用に関して新たな規制の特例措置を講じられました。
  この特例措置の対象となる電動キックボード(以下、「特例電動キックボード」といいます。)の通行については、
 特例電動キックボードが「小型特殊自動車」と位置付けられ、上記1で記載した各規制とは異なる措置を受けること
 になります。
  例えば、小型特殊自動車を運転することができる運転免許が必要となり(「原付」のみの免許では不可)、通行でき
 る場所が追加され(車道に加えて、普通自転車専用通行帯及び自転車道を通行することができます)、ヘルメットの着
 用が任意となり、規制の対象から、「軽車両」「自転車」が除かれた一方通行規制道路では、双方向の通行(逆走)が
 できます。 

3  また、令和2年7月、警察庁において、新たなモビリティに係る安全性や利便性について詳細に分析検討し、新た
  な交通ルールの在り方を検討するために、「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」が開
  催され、令和3年12月には、同検討会の報告書がまとめられました。
   その中では、最高速度が一般的な自転車利用者の速度(時速15~20㎞)と同程度に抑えられており、かつ、その車
  体の大きさも普通自転車と同等な電動キックボードについては、小型低速車と位置付けて、独自のルールを設けるこ
  とが適当であるとしています。具体的には、運転することができる者としては、運転免許の必要性までは認められな
  いが、一定の年齢制限を設けることが適当とし、通行することができる場所としては、車道・普通自転車専用通行
  帯・自転車道とし、乗車用ヘルメットについては、着用促進を図っていくために、法的義務や啓発の在り方について
  検討することが求められるとしています。また、最高速度6~10km/h程度に制限されるのであれば、歩道の通行を
  認める余地もあるとされています。
   この最終報告を受けて作成された道路交通法の改正案(※1)が令和4年3月4日に閣議決定されており、今後国会
  での法改正により、電動キックボードの規制も大きく変わってくることが予想されます。
 
 (※1)道路交通法の一部を改正する法律案(概要)(警察庁Webサイトより抜粋)
     特定小型原動機付自転車(電動キックボード等)の交通方法等
   ○ 最高速度や車体の大きさが一定の基準に該当する車両を「特定小型原動機付自転車」 とする。
   ○ 特定小型原動機付自転車の運転には運転免許を要しないこととし(ただし、16歳 未満の運転は禁止)、ヘルメッ
   ト着用を努力義務とする。
   ○ 特定小型原動機付自転車は、車道通行を原則とする。
   ○ 特定小型原動機付自転車のうち、一定の速度以下に最高速度が制限されており、それに連動する表示がなされて
    いるものについては、例外的に歩道(自転車通行可 の歩道に限る。)等を通行することができることとする。
   ○ 交通反則通告制度及び放置違反金制度の対象とする。また、危険な違反行為を 繰り返す者には講習の受講を命
   ずることとする。