1、交通事故の被害により加害者に対し損害賠償を請求することになりますが、損害賠償請求について主に規定する法律が「民法」になります。

民法は、明治29年に制定され、その後、細かい改正がされたことはありましたが、今回、約120年ぶりに大きく改正されることになりました。既に改正された民法は公布されており、平成32年4月1日から施行されることになります。

 

2、今回の民法改正により、損害賠償請求権の消滅時効の規定が大きく変わります。消滅時効とは、法律で定めた一定の期間内に裁判所に訴訟を提起するなどの必要な措置を講じなければ、相手方が消滅時効を援用することで、損害賠償請求の権利が消滅してしまうというものであり、非常に重要な制度です。

 

3、改正民法の消滅時効期間は、被害を受けた内容が車両などの物に対する損害(物的損害(物損)といいます。)と、怪我や死亡といった身体に対する損害(人的損害(人損)といいます。)によって異なります。

物損については、①損害及び加害者を知った時から「3年」、又は、②交通事故が発生したときから「20年」で時効消滅します。物損については、現在の民法と時効期間に変更はありません。

人損については、①損害及び加害者を知ったときから「5年」、又は、②交通事故が発生したときから「20年」で時効消滅となり、物損と比べるとやや時効期間が伸長されています。長期の治療を要し損害額が確定しない場合や、ひき逃げなどによって加害者が不明な場合には、「損害及び加害者を知った」とは言えず、①の時効は進行しませんが、①②のいずれの場合も、期間内に必要な措置を講じなければ、時効が進行し、権利が消滅してしまうおそれがあります。

そのため、交通事故の被害に遭われた場合には、直ちに弁護士に相談することをおすすめします。