現在、多くの保険会社から弁護士費用特約付きの自動車保険が提供されていますが、今年の1月から、一部保険会社が弁護士費用特約の補償範囲を拡大し、交通事故が刑事事件となってしまった場合の刑事事件の弁護士費用等を補償の対象とする刑事弁護士費用条項が新設されました。

 

加害者として交通事故を起こした場合、民事上の責任として被害者に対して損害賠償をする義務を負います。その民事上の損害賠償金を肩代わりしてもらうための保険が自動車保険です。

一方で、交通事故の加害者は民事上の責任だけでなく、刑事上の責任も負うことになり、過失が大きい場合や被害者の怪我の程度が重い場合などは、刑事事件として逮捕・勾留される場合もありますし、正式な刑事裁判になることもあります。

しかし、弁護士に刑事事件についての相談をしたり、あるいは弁護人として依頼したりする場合の費用は、これまでは自動車保険ではカバーされていませんでした。

そこで、登場したのが、今回の刑事弁護士費用条項です。

 

この条項が入っている弁護士費用特約を結んでいれば、交通事故の加害者になった場合の刑事事件に関する相談を弁護士にする場合にも、また私選弁護人として依頼する場合にも、保険会社から保険金が下りることになります(但し、上限額があります。)。

また、事故態様に争いがあり、交通事故鑑定を専門家に依頼するための鑑定費用なども、保険でまかなわれます。

 

まだ、ごく一部の保険会社しか導入していない条項ですが、今後は取り入れる保険会社が増えていく可能性もあります。

不幸にも交通事故を起こしてしまった場合、まずは特約部分も含めて、自動車保険契約の内容を十分確認されることをお勧めします。